ごあいさつ
永年にわたり「司牡丹」をご愛顧いただき、お引き立てを賜り、心より厚く御礼申し上げます。
お陰様で「明治維新150年」という記念すべき本年、当社は「会社設立100年」「創業415年」を迎えることができました。
この100年間だけでも振り返ってみますと、一貫して品質のブラッシュアップをベースに、新たな領域に挑戦することで危機を乗り越えてきたといえます。中興の祖である曾祖父・源十郎も(祖父は早逝)、父・維早夫も、そして私も、「伝統を守る」というよりは、「進取の気性」で挑戦し続ける中で、結果的に「伝統を守る」ことにつながってきたといえるのではないかと思います。
そしてこの度の「会社設立100年」を機に、日本酒に「意味のイノベーション」を起こしたいと考えています。これは、市場に“新しい意味”をもたらす土壌を創るということです。たとえば、これだけ電灯が普及している中で、ロウソクがなぜ今も売れ続けているのかというと、「食事のムードを楽しみたい」という“新しい意味”に気づいた人がいたからです。日本酒の「意味」も時代によって変わってきています。「神事のための魔法の水」の時代から、「人生儀礼における必需品」、「酔うための道具」・・・等々と変遷してきました。そして現在、若者達の間で「日本酒ブーム」と言われていますが、その意味は「飲んでいるとちょっとツウっぽく見える珍しい飲み物」といった程度でしかないようです。今こそ日本酒に“新しい意味”をもたらす、「意味のイノベーション」が求められているのだといえるでしょう。
そして、次の2つの日本酒の「意味のイノベーション」を起こしたいと考えています。まず1つめは、日本酒とは料理の素材そのものの良さを、出汁のように下から支えて押し上げ、美味しさを一層引き立ててくれる「食の最高のパートナー」であるという意味です。そして2つめは、日本酒とは人間関係を良好にする潤滑油であり、ネットに勝る「最強のコミュニケーションツール」であるという意味です。この2つの土壌を創る活動に、今後は全力で取り組んでまいる所存です。
何とぞ、より一層のご愛顧とお引き立てを、宜しくお願い申し上げます。
司牡丹酒造株式会社
代表取締役社長 竹村昭彦